令和5年度 須崎くろしお 病院情報の公表

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 - - 12 11 25 46 102 396 470 343
【定義】
・集計期間内に退院した患者様を集計の対象としています。
・年齢は、10歳刻みで集計(0歳台は0歳以上10歳未満を指します)。
・年齢は、入院日の満年齢となります。
・年齢階級は、90歳以上を1つの階級として設定しています。
・10件未満の年齢階級においては「-」(ハイフン)で表示しています。

【解説】
 当院における令和5年度の退院患者数は1409名で、前年度(1142名)より267名増加しています。平均年齢は79.7歳(男性76.9歳、女性81.9歳)でした。当院で最も退院患者が多かった年齢階級は、例年同様に80歳から89歳の患者であり、退院患者全体の33.4%を占めています。当院においても地域社会の高齢化が反映され、高齢者の比率が非常に高い結果になっています。
 また、前年度は新型コロナの影響により入院患者数が減少していましたが、今年度は退院患者数・手術件数ともに増加傾向となっています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050130xx9900x0 心不全 手術・処置なし 転院以外 56 26.07 17.38 5.36 89.48
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 43 32.47 13.52 11.63 84.00
100380xxxxxxxx 脱水症 38 29.58 10.60 2.63 85.61
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術・処置なし 19 32.05 20.60 10.53 84.32
180030xxxxxx0x COVID-19 副傷病なし 13 5.92 8.60 7.69 81.54
【定義】
・DPCコードとは、診断群分類を表すコードです。傷病名と治療方法(手術や処置など)の組み合わせによって分類されますので、同じ病気でも治療方法が違えばDPCコードは異なります。
・平均在院日数(自院)とは、病院に入院していた日数(在院日数)の平均値です。
・平均在院日数(全国)とは、厚生労働省から公表されている令和5年度における全国のDPC対象病院の在院日数の平均値です。
・転院率とは、当院から他の病院に移動して継続入院(転院)することとなった患者様の割合です。
・患者用パスとは、疾患ごとに作成された入院診療計画書です。当院では、入院時にお渡しするため、公開はしていません。
・集計結果の公表にあたり、「令和6年度病院情報の公表の集計条件等について」にある「指標公開におけるフローチャート」を参照しています。

【解説】_内科
 令和5年度の内科の退院患者数は371名で、前年度(400名)より29名減少しています。
 最も多い症例は、「心不全」で、平均年齢は89.5歳です。高齢者が多く、70歳以上がほぼ100%を占めています。8割以上が治癒・軽快退院、約半数以上が自宅へ退院されています。
 また、「COVID-19(新型コロナウイルス感染症」に関しては、感染症法上の位置づけ見直し(5類感染症へ移行)により、前年度(28名)よりやや減少しています。入院協力医療機関として徹底した感染対策を行い、前年度と同様に軽症および中等症を中心に受入れをしております。

外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100380xxxxxxxx 脱水症 28 23.39 10.60 14.29 81.14
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 24 19.96 13.52 4.17 82.96
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術・処置・副傷病なし 19 18.58 8.95 10.53 82.47
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む)内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術等 16 2.13 2.61 0.00 70.31
060380xxxxx0xx ウイルス性腸炎 処置なし 15 15.60 5.64 6.67 73.00
【解説】_外科
 令和5年度の外科の退院患者数は445名で、前年度(264名)より181名増加しています。
 最も多い症例は「脱水症」で、平均年齢は81.1歳です。70歳以上が90%を占めています。
 次いで症例数が多いのは、「腎臓又は尿路の感染症」による入院です。平均年齢は83歳で、70歳以上が約8割を占めています。治癒・軽快退院が96%となっています。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070230xx01xxxx 変形性膝関節症 人工関節置換術等 49 39.00 21.96 0.00 79.69
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷 手術なし 48 47.90 19.34 20.83 83.67
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工関節置換術等 40 60.30 25.50 20.00 85.30
160980xx99x0xx 骨盤損傷 手術・処置なし 22 59.09 19.27 9.09 82.23
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、変形性股関節症 人工関節置換術等 21 59.67 19.55 4.76 74.95
【解説】_整形外科
 令和5年度の整形外科の退院患者数は350名で、前年度(264名)より86名増加しています。新型コロナの影響により、前年度は手術を先送りにした患者様が多かった為、今年度の入院数が増加したと考えられます。
 整形外科全体の約2割が大腿骨骨折症例(前年度とほぼ同等)です。平均年齢は86.1歳で、女性患者が約8割を占めています。
 最も多い症例は、前年度同様にクリニカルパスを使用した「変形性膝関節症」です。70歳以上の割合が93.9%であり、手術目的の予約入院が100%で、術後状態も安定しています。
 当院では、クリニカルパスを使用して、医療の標準化と平均在院日数の見直しを図っており、一貫したリハビリテーション提供体制により、在宅復帰に向けた治療を継続的に行っています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外) JCS10未満 手術・処置・副傷病なし - - 19.09 - -
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術・処置・副傷病なし - - 8.38 - -
010060x2990220 脳梗塞 発症3日以内かつJCS10未満 手術・処置なし 脳血管疾患等リハ 副傷病あり RankinScale3~5 - - 30.29 - -
010069xx99000x 脳卒中の続発症 手術・処置・副傷病なし - - 10.61 - -
【解説】_脳神経外科
 患者数上位5位までが全て10件未満の為、「令和6年度病院情報の公表の集計条件等について」の記載に則り、「DPCコード」「DPC名称」「平均在院日数(全国)」のみ入力し、その他の項目は「-」(ハイフン)で表示しています。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障 手術あり 片眼 156 2.02 2.54 0.64 76.86
02006xxx97xxxx 眼の良性腫瘍 手術あり - - 3.33 - -
020320xx97xxxx 眼瞼、涙器、眼窩の疾患 手術あり - - 3.17 - -
020250xx97xxxx 結膜の障害 手術あり - - 3.00 - -
【解説】_眼科
 令和5年度の眼科の退院患者数は171名で、前年度(162名)より9名増加しています。
 眼科の入院は手術目的が多く、最も症例数が多いのは「白内障」です。白内障は全症例数の92.4%を占め、平均年齢は76.9歳(男性74.6歳・女性78.3歳)です。高齢の患者様が多いですが、片眼ずつの短期入院が基本となり、高齢の方でも手術が可能で視機能の改善が期待できます。自宅への軽快退院もほぼ100%と術後成績も安定しています。また、腫瘍疾患の治療では県内唯一の眼腫瘍を専門とする医師による手術を行っています。
 2位以下は、患者数が10件未満の為、「令和6年度病院情報の公表の集計条件等について」の記載に則り、「DPCコード」「DPC名称」「平均在院日数(全国)」のみ入力し、その他の項目は「-」(ハイフン)で表示しています。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
【解説】_小児科
今年度は、入院症例がありません。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 - - - 1 8
大腸癌 - - - - - 1 8
乳癌 - -
肺癌 - - - 1 8
肝癌 - 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
【定義】
・5大癌とは、胃癌、大腸癌、乳癌、肺癌、肝癌になります。
・UICC病期分類とは、国際対がん連合(UICC)によって定められた、(1)原発巣の大きさと進展度、(2)所属リンパ節への転移状況、(3)遠隔転移の有無の3つの要素によって各癌をⅠ期(早期)からⅣ期(末期)の4病期(ステージ)に分類するものです。
・集計対象期間中に複数回入院された患者様も、1例としてカウントしています。
・患者数が10未満の場合は、「令和6年度病院情報の公表の集計条件等について」の記載に則り、「-」(ハイフン)で表示しています。また、種類別の患者数が全て0件の場合は、「病期分類基準」と「版数」について「-」(ハイフン)で表示しています。

【解説】
 各癌における種類別の患者数が10件未満であり、「ー」(ハイフン)で表示しています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 - - -
中等症 45 22.76 85.00
重症 - - -
超重症 - - -
不明 - - -
【定義】
・重症度は、成人市中肺炎診療ガイドライン(日本呼吸器学会)による重症度分類システム(*A-DROPスコア)を用いています。
・市中肺炎とは、普段の社会生活の中でかかる肺炎のことです。
・細菌による肺炎の集計であり、インフルエンザウイルスなどのウイルスによる肺炎や、食べ物の誤嚥による肺炎、気管支炎などは集計対象外となっています。また、小児肺炎も集計対象外となります。
・患者数が10未満の場合は、「令和6年度病院情報の公表の集計条件等について」の記載に則り、「-」(ハイフン)で表示しています。
・A-DROPスコアとは、下記の5項目のうち1項目に該当すれば1点、2項目に該当すれば2点というように計算し評価点数をつけます(5点満点)。
 評価点数が高ければ重症となります。
 ●A(Age=年齢):男性70歳以上・女性75歳以上
 ●D(Dehydration=脱水):BUN21mg/dL以上または脱水あり
 ●R(Respiration=呼吸):SpO2 90%以下またはPaO2 60Torr以下
 ●O(Orientation=見当識):意識障害あり
 ●P(Pressure=血圧):収縮期血圧90mmHg以下

 軽症:0点の場合。
 中等症:1~2点の場合。
 重症:3点の場合。ただし、意識障害(ショック)であれば1点でも重症とする。
 超重症:4~5点の場合。
 不明:重症度分類の各因子が1つでも不明な場合。

【解説】
 令和5年度の「肺炎」の症例件数は57件で、前年度(40件)より17件増加しています。
 最も多い症例は“中等症”で、全体件数の79%を占め、平均年齢は85歳と高齢者の入院が多くなっています。
 なお、軽症・重症・超重症の受入れもありますが、患者数が10未満の為、「-」(ハイフン)で表示しています。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 28 47.46 84.75 28.57
その他 13 70.23 81.62 4.88
【定義】
・脳梗塞等の患者数、平均在院日数、平均年齢、転院率別に示しています。
・脳梗塞のICD10コードであるI63$の症例について集計しています。
・ICD10コードとは、国際疾病統計分類-第10回修正(ICD10)に基づいて、様々な傷病名が分類され、コード化されています。WHO(世界保健機関)により1990年に採択された国際基準です。
・患者数が10未満の場合は、「令和6年度病院情報の公表の集計条件等について」の記載に則り、「-」(ハイフン)で表示しています。


【解説】
 令和5年度の脳梗塞の症例数は41件で、前年度(38件)より3件増加しています。
 全体の68.3%の患者さんが、発症日から3日以内に受診されています。また、87.8%と高い確率で自宅等へ軽快退院されています。
 「脳梗塞」とは脳の血管が詰まって脳細胞が死んでしまう病気で、発症から治療までの期間が短いと、実施できる治療法の幅が広がります。早期発見、早期治療が重要となり、治療開始時期が早いほど治療成績が良く、後遺症のリスクも減らすことが出来ます。当院では、早期治療にあわせて、早期離床、早期リハビリテーション開始につなげ、ADL(日常生活動作)障害の軽減、在宅復帰に努めています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K635 胸水・腹水濾過濃縮再静注法 - - - - -
K5972 ペースメーカー交換術・移植術 - - - - -
【定義】
・診療科ごとの手術について症例数上位5位までを集計しています。
・Kコードとは、手術術式の点数表コードです。ただし、輸血は集計外です。
・平均術前日数とは、入院日から手術日までの日数の平均です。手術日当日は含まれません。
・平均術後日数とは、手術日から退院までの日数の平均です。手術日当日は含まれません。
・創傷処理、皮膚切開術、非観血的整復術、徒手整復術、軽微な手術は除外しています。
・患者数が10未満の場合は、「令和6年度病院情報の公表の集計条件等について」の記載に則り、「-」(ハイフン)で表示しています。
・集計結果の公表にあたり、「令和6年度病院情報の公表の集計条件等について」にある「指標公開におけるフローチャート」を参照しています。

【解説】_内科
 患者数上位5位までが全て10件未満の為、「令和6年度病院情報の公表の集計条件等について」の記載に則り、「Kコード」「名称」のみ入力し、その他の項目は「-」(ハイフン)で表示しています。

外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ切除術 16 0.07 1.00 0.00 70.31
K6335 ヘルニア手術(鼠径ヘルニア) - - - - -
K654 内視鏡的消化管止血術 - - - - -
K7182 虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴うもの) - - - - -
K664 胃瘻造設術(内視鏡下) - - - - -
【解説】_外科
 令和5年度の外科の手術件数は32件で、前年度(15件)より17件増加しています。最も症例数が多いのは、大腸ポリープに対する「内視鏡的大腸ポリープ切除術」です。外来でのポリープ切除後に、経過観察目的での短期入院が多くなっているのが特徴です。
 2位以下は、患者数が10件未満の為、「令和6年度病院情報の公表の集計条件等について」の記載に則り、「Kコード」「名称」のみ入力し、その他の項目は「-」(ハイフン)で表示しています。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0821 人工関節置換術(肩、股、膝) 74 2.04 38.38 0.00 78.42
K0461 骨折観血的手術(大腿、上腕、肩甲骨) 35 2.97 46.50 22.86 83.49
K0811 人工骨頭挿入術(肩、股) 18 4.37 66.37 57.78 86.78
K0462 骨折観血的手術(前腕、下腿、手舟状骨) 17 2.87 40.60 11.76 75.29
K0463 骨折観血的手術(鎖骨、膝蓋骨、手指骨) - - - - -
【解説】_整形外科
 令和5年度の整形外科の手術件数は193件で、前年度(157件)より36件増加しています。
 変形性股関節症や変形性膝関節症に対する「人工関節置換術」が74件と最も多く、平均年齢は78.4歳で、70歳以上が90.5%を占めています。そのうち女性の割合が高いのも特徴です。クリニカルパスを使用し、早期の在宅復帰を支援しています。
 また、高齢者に多い骨折(大腿骨・上腕)に対する「骨折観血的手術」も多く、骨折による日常生活機能低下を最小限にするため、急性期治療後は回復期ケア病棟または地域包括ケア病棟での十分なリハビリテーションを行っています。
 5位は、患者数が10件未満の為、「令和6年度病院情報の公表の集計条件等について」の記載に則り、「Kコード」「名称」のみ入力し、その他の項目は「-」(ハイフン)で表示しています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 - - - - -
【解説】_脳神経外科
 患者数上位5位までが全て10件未満の為、「令和6年度病院情報の公表の集計条件等について」の記載に則り、「Kコード」「名称」のみ入力し、その他の項目は「-」(ハイフン)で表示しています。
小児科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
【解説】_小児科
 今年度は、手術症例がありません。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズ挿入あり) 155 0.00 1.02 0.00 76.79
K2193 眼瞼下垂症手術(その他) - - - - -
K215-2 眼瞼結膜腫瘍手術 - - - - -
K224 翼状片手術 - - - - -
K225-2 結膜腫瘍摘出術 - - - - -
解説】_眼科
 令和5年度の眼科の手術件数は170件で、前年度(161件)より9件増加しています。
 白内障に対する「水晶体再建術」が全体の91.8%を占めています。クリニカルパスを使用し、1泊2日入院が典型的な症例です。
 両眼に白内障を患っている患者様は、片眼の手術後に一旦退院し、後日再入院して反対側の眼の手術を受けられることが多く、「水晶体再建術」156件のうち、76.9%が両眼の手術となっています。
 また、県内唯一の眼腫瘍専門医による眼瞼結膜腫瘍手術(悪性も含む)も行っています。
 2位以下は、患者数が10件未満の為、「令和6年度病院情報の公表の集計条件等について」の記載に則り、「Kコード」「名称」のみ入力し、その他の項目は「-」(ハイフン)で表示しています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 - -
異なる 10 0.71
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 - -
異なる - -
【定義】
・DPCコードは、6桁で集計しています(治療方法は分類に関連しません)。
・入院契機とは、入院の契機となった病気(入院契機病名)であり、DPC病名と入院契機病名が「同一」か「異なる」かにより分けて集計しています。
・「同一」とは、ある病気の診療目的で入院して、その病気の治療を行ったということを表し、「異なる」とは、ある病気の診療目的で入院したが、併発していた、若しくは入院中に発症した違う病気(この指標では、播種性血管内凝固や敗血症、手術・処置などの合併症)による治療が主だったものになってしまったことを表します。
・播種性血管内凝固や敗血症は、DPCで高額な点数が設定されている(=入院医療費が高くなる)ため、臨床的に根拠のある診断でなければアップコーディング(不適切な入院医療費請求)を疑われかねないDPC病名とされています。


【解説】
① 播種性血管内凝固症候群
 DICと呼ばれ、様々な重症の基礎疾患のために過剰な血液凝固反応活性化が生ずるため生体内の抗血栓性のコントロールが十分でなくなり、全身の細小血管内で微小血栓が多発して臓器不全や出血傾向がみられる重症の病気です。
 当院では、DPCコードを「播種性血管内凝固」とする場合は、厚生労働省DIC診断基準によるDICスコアや、実施された治療内容および検査値等の推移を総合的に判断し、臨床的に根拠のある診断に基づくDPCコーディングを行っています。
 今年度は症例数が10件未満の為、「令和6年度病院情報の公表の集計条件等について」の記載に則り、「症例数」「発生率」共に、「-」(ハイフン)で表示しています。

② 敗血症
 感染症が全身に波及して、生命を脅かすような臓器障害が生じ、重篤な全身症状を引き起こした状態です。
 『敗血症』の出現率は、0.85%(入院契機の病名と同一、異なる合わせて)で、前年度より減少しています。入院時の重篤な肺炎や、急性胆のう炎等から敗血症へ移行している症例が大半ですが、抗生剤投与や厳重な全身管理により約6割の患者様が軽快退院されています。
 『敗血症』も『播種性血管内凝固』と同様に敗血症ガイドラインを基準に適正な診療報酬請求を行っています。

③ 真菌感染症
 真菌によって引き起こされる感染症です。

 『真菌感染症』は、今年度は該当がありません。

④ 手術・処置等の合併症
 手術や処置などの後、それらが基になって起こることがある病気です。全ての患者様に一定の割合で起こり得るもので、医療ミスとは異なります。手術や処置などは合併症を起こさないように細心の注意を払って治療を行っていますが、起こり得る合併症については、事前に可能な限り患者様に説明したうえで、手術や処置の施行に対し同意を頂くよう努めています。
 今年度は症例数が10件未満の為、「令和6年度病院情報の公表の集計条件等について」の記載に則り、「症例数」「発生率」共に、「-」(ハイフン)で表示しています。

●手術・処置等の合併症の傷病名の内訳
・右遅発性人工関節感染
・右尿管ステント交換後腎盂腎炎
・左人工股関節のゆるみ
・左人工股関節脱臼
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
123 121 98.37
【解説】
 肺動脈に血液の塊である血栓が詰まる病気です(エコノミークラス症候群)。長期臥床・長期間のギプス固定等、長い間一定の姿勢をとることにより、血液が滞りやすい下肢の静脈に形成された血栓が肺まで運ばれることから発症します。肺動脈に血栓が詰まると、動悸・胸痛などがみられ、血管が閉塞した範囲が広い場は、意識消失から最悪の場合は死に至ることもあります。疾患や手術(処置)のリスクレベルを4段階(低リスク、中リスク、高リスク、最高リスク)に分類し、各々に応じた予防法が推奨されています。
 肺血栓塞栓症を予防する為に、当院では手術施行時に医師の指示の下、弾性ストッキングを着用してもらっています。また、手術後1日は間欠的空気圧迫法を施行しています。当院での予防対策実施率は98.4%となっており、適切な予防対策ができていると考えられます。
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
127 9 7.09
【解説】
血液培養検査
 『敗血症』が疑われる場合に実施します。採取した血液に含まれる細菌は少量の為、あえて細菌が増殖しやすい環境に置き、細菌の有無や感染菌の特定をしやすくする検査が血液培養検査です。
 細菌は常時血液内にくまなく存在するわけではない為、1セット採取では見逃す可能性があるので、検出感度を十分に上げる為に、採血部位を変えて少なくとも2セットが必要であると推奨されています。特定された菌に対し、効果がより高い抗生物質による適切な治療を迅速に開始する為に必要な検査です。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
200 83 41.50
【解説】
・細菌培養検査
  細菌感染が疑われ抗菌薬が必要な場合は、治療開始を遅らせないように早急に培養検査を実施します。
  採取した検体(喀痰、尿、便など)に含まれる細菌はごく少量の為、あえて菌を増殖させ、種類を特定しやすくする検査です。

・広域スペクトル抗菌薬
 幅広い種類の細菌に効果がある抗菌薬を「広域スペクトル抗菌薬」といい、特定の細菌にのみ効果を表す抗菌薬を「狭域スペクトル抗菌薬」と呼びます。効果の強弱とは関係ありません。

 培養検査をせずに広域スペクトル抗菌薬を使用していると、薬剤耐性菌が体内に残ってしまうなど治療が長期化してしまいます。
 検査結果が出るまでの期間には広域スペクトル抗菌薬の使用は必要ですが、正確な菌を特定し的確な抗菌薬への早急な変更が必要です。検査で菌が検出されなかった場合は広域スペクトル抗菌薬を使用することになりますが、一定期間効果が出なければ再度細菌培養検査を実施する場合もあります。当院では、適切な抗菌薬の選択と投与量・投与期間を考え、安全に配慮した感染症治療を行っております。
更新履歴
2024/09/25
初版 作成・公開